もうひとつの別れ
はるひ苑仁保
2年間、はるひ苑でともに過ごし、しばらく前から入院しておられた方が、入院中に状況が悪化して医療なしでは過ごせない状態になり、本日退去することになりました。
とても思い出深い2年間でした。前頭側頭型認知症―。前頭葉と側頭葉の萎縮からくる認知症症状。状況の変化に弱いので、すぐにパニックになる。パニックになって、見境がつかなくなる。私も何度も殴り回されました。でも、それも今ではいい思い出です。今回、検査のために病院に行く時にも殴られ、面会に行っても殴られ・・でも、個人の名誉のために言っておきますが、これはこの認知症の症状です。
このタイプの認知症になれば、そうなるのです。記憶は比較的保たれますが、同じ行動、習慣で生活が成り立っているので、それを乱されるとパニックになります。
それでも、2年前、慣れるのに3ヶ月はかかる、と言われていたのに、入所してわずか1週間で苑に馴染んでそれからずっと穏やかに暮らせて来ました(もちろんその1週間は寝ずのパニック状態でしたが)。地福から仁保への移転でパニックになることを懸念していましたが、特に大きな動揺もなく、それどころか、新たに毎日調理に取り組むという習慣が身につき、見るからに毎日楽しく充実した日々を過ごせていたように思います。
それだけに、残念です。しかし、加齢に伴う血管の損傷はどうしようもありません。
先日面会に行った際、「あんたかね?まあ~、わたしゃ、なしてこねぇなことになったろうか?兄さま、わたしを連れて帰ってくれんさい」と何度もおっしゃるのを聞くのが辛かったです。叶うことなら、連れて帰りたいです。帰り際、「まあ、行っちゃいけんわあね。わたしを連れて帰ってくれんさい」と何度も大声で繰り返し言われるのを聞くのは胸が張り裂けそうな思いでした。
その後状況の改善を待っていましたが、逆に悪化してしまい、本日退去の運びとなりました。次の施設に思いを託すばかりですが、状況が改善し、またお会いできることを楽しみにしています。それまで、お元気でいてください。
この2年間、色々なことを教えて頂き、ありがとうございました。この2年間は何事にも代え難い思い出となりました。心よりお礼申し上げます。
感謝
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