はるひ苑仁保
入所以来、はるひ苑仁保で、掃除、洗濯、調理と毎日大活躍だったNさん。
昨夜未明に息を引き取られ、本日お見送りをしてきました。
昨年7月開所前の話―。
「どうしてもお宅に入れたいんですが」
結構申込みがあって、キャンセルが出ないと入れない状況ですが、もし良ければ他で空いている所を紹介しましょうか?
「いえ、お宅がいいんです」
熱心な娘さん。電話口でとにかく待ちますので、と言われる。幸いキャンセルが出て、入居の運びとなりました。
入所してすぐ、Nさんは本領を発揮されました。掃除、洗濯、調理と大活躍。他の方を気づかって面倒を見たり、水を得た魚のごとく、日々生き活きと過ごされました。
娘さんがおっしゃった意味が分かりました。
「前居たところではすることがなくて毎日ぼーっとしてたんですよ。このままいくのも可哀想だなあと思って。お宅の話を聞いて、きっとうちの母にピッタリなところなんだろうなって思ったんです」
そうやって日々生き活きと忙しく過ごされていましたが、年末に掃除の途中に足の違和感を訴えられ、受診。疲労骨折ということで入院。手術することに。
「はるひに帰れるじゃろうか?」
「はるひに帰りたい」
帰ってまた料理をしたりして前のように過ごしたい―何度もおっしゃいました。大丈夫、帰れますよ、ありがたく思いながらそう繰り返すばかりでした。
手術は無事成功し、退院。しかし、心臓の状態が思わしくなく、足の状態もままならないので、手引き歩行で2、3m歩くのがやっとでした。そんな状態なのに、ある日、気がつくと台所に立ち、皆さんのためにお茶を入れる準備をしておられるNさんの姿がありました。
「ちょっと、Nさん、大丈夫ですか?」
「・・・大丈夫よ」
ニコッと笑われる。おぼつかない足取りでゼイゼイと苦しそうでしたが、でも、以前のように目は輝いています。
“残された力で 暮らしの喜びと自信を―”
はっとさせられました。出来ることを出来るところまで取り組んで頂くことの大切さ。
生きがい、の意味。
出来るかどうか、やりたいかどうかは本人が決めること―。
その後、心臓の病状から横になって過ごされる日が続き、昨日28日、苑から旅立つことになりました。
旅立たれたあなたへ
残された最後の短い時間をはるひで少しでも楽しく過ごすことができたでしょうか?
長い人生色々あったと思いますが、最期をはるひで迎えたことに悔いはなかったでしょうか?
きっと至らないところが多々あったと思います。多目に見てくださっていたことだろうと思います。
今はもう、私たちにはあなたのご冥福をお祈りすることしかできません。
ですが、あなたの思いやあなたに教わったことは今後、次の方、またさらに次の方へと繋げていきます。
はるひ苑仁保を開所してはじめての利用者として入られたあなたと一緒に生活した日々を忘れません。
今後もはるひ苑として、ここからあなたを見送らせて頂いたことに恥じぬように頑張っていきます。
短い間でしたが本当にありがとうございました。
はるひ苑スタッフ一同、あなたのご冥福をお祈りいたします。
合掌