雨蛙とHさんとゴーヤーの謎
はるひ苑 仁保
苑の畑の野菜が食卓に並ぶのも、ごく日常的な光景となりました。
会話の中にも、自然と野菜の話題が出てきます。
あるとき、Hさんが何匹もの雨蛙がいると教えてくれました。
西側の部屋の窓の外に、日除けを兼ねてゴーヤーが植えてあるのです。
Hさんの部屋の窓の前にもゴーヤーが植えてあります。
でも、何だかヘンです。
ゴーヤーの蔓の上へ伸びた先が、ある高さから水平になってます。
きれいに揃っているというか、途中で横に曲がっているというか…
後で畑奉行の職員に聞いたら、それをHさんがやっているというのです。
ゴーヤーの蔓を横に這わせて、窓の外がよく見えるようにしていると。
そうでした。
Hさんは、お隣の農家のご夫婦との挨拶も楽しみにされていたのです。
でも、Hさんは熱心にゴーヤーの世話もされて、他よりよく育っています。
なるほど。
ゴーヤーの蔓の伸びる方向を変えようなんて、私には思い付きません。
毎日、ゴーヤーの育ちを観察し、世話をしてくれていたHさんならでは。